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既出の作品が殆ど、でもロードムービー大好きなので幾つかご紹介。年代順。
1937年1月29 : アメリカ
監督 : Fritz Lang(フリッツ・ラング)
「俺たちに明日はない」Bonnie and Clydeから遡ること30年。邦画ならば小津安二郎「「淑女は何を忘れたか」、ちなみに小津安二郎初トーキーは前年の「鏡獅子」。「鏡獅子」はドキュメンタリー映画なので比較に意味はないけど、「暗黒街の弾痕」を見ると、この頃既にアメリカ映画は完成されていたのだと感じる。1920年代後半から1930年代はサイレントからトーキーへの過渡期。サイレントならば、「大人の見る繪本 生れてはみたけれど」など小津映画しか知らない。それ以前のロードムービーを知らないから、トーキー移行後の「逃避系ロードムービー」を前提条件として、「暗黒街の弾痕」は旅映画の始まりに分類される作品なのだろう。時代的な違和感はあるとしても、未だ色褪せないのが凄い。若き日のヘンリー・フォンダ、シルヴィア・シドニーも綺麗。
「東京物語」
1953年11月 : 日本
監督 : 小津安二郎
特徴的なロー・ポジションの撮影、イマジナリーラインを越える手法、小津映画には独特の世界観がある。小津調と呼ばれる映像美は、ある面縛られて身動きが取れないのに、ある面自由で矛盾を恐れない。その個性的な組み合わせに、小津監督ならではの妙があるのだろう。几帳面な画角や長回しが多いので、黒澤映画のようなエンターテインメント性は少ないのかもしれない。けれども相性が合えば合理的で美しく、心象風景として残り続ける。個人的には大好きな監督。
「東京物語」には普遍的な家族の生涯が綴られている。尾道から東京へ向かう老夫婦のリアルな物語。果てしなく続くと思いがちな日常の終着。よくある風景は喜怒哀楽の中心に存在するから穏やかだ。凪は退屈だけど、表すなら幸福という言葉になる。喜びは狂気を含むからざわめくし、その両極を行き交うのが旅なのだろう。
「東京物語」は日本的ロードムービーの代表作だと思う。小津映画が初な方は、「東京物語」を含む紀子三部作から足を踏み入れてはいかがだろうか。または黒澤明「わが青春に悔なし」の原節子と、小津映画の原節子は表情が違ってたりするので、比べてみるのも面白い。
Bonnie and Clyde 「俺たちに明日はない」
1967年 : アメリカ
監督 : Arthur Penn(アーサー・ペン)
実話。アメリカン・ニューシネマの代表作。古い映画だけど、後半の展開は現代映画と比較しても見劣りしない。アメリカン・ニューシネマと言えば1969年代の「イージーライダー」も有名だけど、双璧の作品のように思う。葛藤が暴力に繋がるのか、内向的な旅に繋がるのか。狂気が強ければ「1993年トゥルー・ロマンス」「1994年ナチュラル・ボーン・キラーズ」「2007年ノーカントリー」などの映画に繋がるのだろう。
Easy Rider
1967年 : アメリカ
監督 : Dennis Hopper(デニス・ホッパー)
「俺たちに明日はない」に続きアメリカン・ニューシネマの代表作。移動しなければ何一つ知り得なかった時代の物語。
「その金どうした?」と問われて答えられない不自由さは哀れだ。フリーダムという台詞が滑稽に聞こえるのは、劇中登場する人物総てが不自由に見えるからだろう。旅というよりかは移動、ピーター・フォンダの「ダメだよ」の言葉には悲哀が収斂されている。所詮犯罪、薬物売り捌いて得た金で旅に出たって何の自由もない。好きな女に告白するため、セローに乗っかってトコトコ日本一周している旅物語の方が余程自由だ。
アメリカのヒッピー、日本なら60年70年安保の学生達は、愛でも平和でもなく、多くの場合解放されないエゴに魘されていた。綺麗な理由を後付けしたようにしか見えない。その時代と関わり合ってないから言えるのだけど、あっけなく終息してしまった結果を知るとそう思えてしまう。エスカレートの先は所詮暴力という矛盾。劇中、閉ざされた田舎の病的なアメリカ人が暴力の象徴として描かれていたけど、暴力は最も醜悪な姿だ。
好きな映画ではあるけど、時代背景もあってか自由をあまり感じない。日本でも戦後覚醒剤が売られていたように、薬物に対する距離感は今よりも緩かったと思われる。だから当時は自由を感じられたのかもしれない。チャーリーパーカーやコルトレーンも筋金入りのジャンキーだったし。個人的に大好きなビル・エバンスも1960年代にはヘロインでボロボロだった。現状は知らないけど、日本でも1990年代半ばくらいまで大麻や覚醒剤は身近にあった。半世紀前の自由と今の自由は別物だろうから、違和感も仕方ないのだろう。ビム・ベンダース的ロードムービーとは別物だけど、正にアメリカン・ニューシネマ。「俺たちに明日はない」や「タクシー・ドラ一バー」の系譜。
Midnight Cowboy 「真夜中のカーボーイ」
1969年5月 : アメリカ
監督 : John Schlesinger(ジョン・シュレシンジャー)
「Easy Rider」と同じく古い映画なので、今見ると違和感は多い。時代が大分変わってしまったので、感覚の溝を埋めるには無理がある。けれども社会の縮図として見てみると、普遍的な葛藤が描かれていて感情の共有は可能。時を経ても人は、似たような矛盾に道をはぐらかされ、似たような自問自答を繰り返している。映像はアメリカン・ニューシネマ、ロードムービーそのもの。アンジェリーナ・ジョリーの父親、主演のジョン・ヴォイトは未だ健在。リコ役ダスティン・ホフマンも必見。せつなくて、二人の配役は絶妙。
Badlands 「地獄の逃避行」
1973年10月15 : アメリカ
監督 : Terrence Malick(テレンス・マリック)
テレンス・マリックも好みが分かれる監督。個人的には大好きな監督。一人には絞れないけれども「好きな監督は」と問われれば「テレンス・マリック」がまず出てくる。哲学的な映画を観て退屈だと感じる人には向かない。でも「天国の日々」なんて珠玉の名作。「地獄の逃避行」もテレンス・マリック色が色濃く出てる。主演は若き日のマーティン・シーン。「地獄の逃避行」はその後登場する多くのロードムービーに影響を与えた。
Alice in den Städten 「都会のアリス」
1974年5月 : 西ドイツ
監督 : Wim Wenders(ヴィム・ヴェンダース)
ヴィム・ヴェンダースロードムービー3部作第1弾。フィリップ・ヴィンター初登場。31歳男と少女アリスとの旅物語。この映画を見て感じるところがあれば、ヴィム・ヴェンダース作品との相性は良いと思う。ヌーヴェルヴァーグ程はあざとくないし、即興感も一応薄っぺらな感じはしない。イェラ・ロットレンダーなんて堂々としている。「真夜中のカーボーイ」のジョーもそうだったけど、アリスもまたラジオに耳を澄ましている。給水塔、モーテル、車のラジオ、どれもロードムービーの定番アイテム。
Falsche Bewegung「まわり道」
1975年3月 : 西ドイツ
監督 : Wim Wenders(ヴィム・ヴェンダース)
ヴィム・ヴェンダースロードムービー3部作第2弾、ナスターシャ・キンスキーデビュー作。ブレードランナーのプリス・ストラットンはナスターシャ・キンスキーのミニョンから影響を受けたのでは、と思えるくらい印象的。とても綺麗な女優。映画はフロイトの夢判断的な思考を、寄り集まった旅人の孤独な旅物語に置き換えたような感じで進行する。哲学色が濃い。ただし、説明がちではあるけど、見事な長回しで乗り切ってる。
Im Lauf der Zeit「さすらい」
1976年3月 : 西ドイツ
監督 : Wim Wenders(ヴィム・ヴェンダース)
ヴィム・ヴェンダースロードムービー3部作第3弾。主演は同じくリュディガー・フォーグラー。配役は前2作が作家志望、「さすらい」では映写技師に。映画館を回る旅すがら、とある男と出会い行動を共にする。ヴィム・ヴェンダースが描くロードムービーは登場人物の個人的な悲哀や不安、他人からすれば退屈な孤独を隠そうとしない。放浪の避けられない覚悟のようなものを問う。旅への欲求が躊躇われる旅物語。それでもなお心に残るし、慣れると抜け出せなくなってしまう。万人にとって面白い映画かは分からない。約3時間と長い映画だし、人によっては退屈だろう。でも、波長が合えば次の作品が見たくなる。
Paris,Texas,
1984年9月19 : フランス、西ドイツ、イギリス
監督 : Wim Wenders(ヴィム・ヴェンダース)
音楽 : Ry Cooder(ライ・クーダー)
そもそも小津安二郎を見る切っ掛けになったのは「ベルリン・天使の詩」。その後小津映画を見て、更にヴィム・ヴェンダースを遡るように。「Paris,Texas」は言わずと知れたジャーマン・シネマ、ロードムービーの金字塔。名作中の名作。そもそもヴィム・ヴェンダースが影響を受けたとされるヌーヴェルヴァーグは、最初に見たゴダールの「勝手にしやがれ」が個人的には全く好きになれず興味が失せてたので、その影響が少し見受けられるヴィム・ヴェンダースロードムービー3部作にも僅かながら違和感があった。ただし、ドイツならではか、自問自答をしっかりと噛み砕いているので軽薄な感じはしない。退屈になりがちな比喩も多いのだけど、俯瞰や長回しとのバランスが良く、逆に見入ってしまう。ヌーヴェルヴァーグに影響を受けたニュー・ジャーマン・シネマの騎手がアメリカを素材にすると、珠玉のロードムービーが完成した。といった感じ。個人的には絶対に外せない映画の一つ。特別な映画。
バクダッド・カフェでも登場するモハベ砂漠を歩く一人の男、オープニングから既に印象的なトラヴィス役のハリー・ディーン・スタントン。ストレートストーリーではストレート兄弟の兄ライル役で登場するのだけど、独特の雰囲気がある。「まわり道」がデビュー作のナスターシャ・キンスキー、とても綺麗で、ジェーン役も見事。上記に記載している「まわり道」のプレビューもナスターシャ・キンスキー。アン役のオーロール・クレマンも心に引っ掛かるし、ストレンジャー・ザン・パラダイス では主演のジョン・ルーリーと個性派の役者揃い。
Stranger Than Paradise
1984年9月29 : アメリカ、西ドイツ
監督 : Jim Jarmusch(ジム・ジャームッシュ)
時代的なチープ感は避けられない。でも、不自然さ含めて好きな映画。この時代特有の哀愁があって、切ない気持ちになる。少なくともこの空気感は、私が十代や二十代前半の頃の日本にも漂っていた。
Stand by Me
1986年8月 : アメリカ
監督 : Rob Reiner(ロブ・ライナー)
原作はスティーヴン・キング「THE BODY」。ベン・E・キング「Stand by Me」が聞こえてくるとこの映画が目に浮かぶ。冒頭の「人口はたった1281人、だが私には全世界だった」というゴーディの言葉は印象的で、今尚心に残っている。少年の成長を描いた一夏のロードムービー。音楽も脚本も色褪せることのない、多くの人に見ていただきたい不朽の名作。
享年23歳、ヘロインとコカインの過剰摂取で死んだクリス役リヴァー・フェニックスの生い立ちは独特だ。両親はヒッピー、フリーセックスを推奨するカルト集団「神の子供たち」で育ち、性行為は4歳の時。性的虐待行が嫌になり、ヴィーガニズムへ。貧しい家庭で育ったのだけど役者として成功、でも最後は薬物中毒に陥った。
ゴーディ役のウィル・ウィトンは今も役者を続けている。
テディ役のコリー・フェルドマンも子役の頃性的虐待を受け、大人になってからはリヴァー・フェニックス同様薬物中毒で苦しんだようだ。
バーン役のジェリー・オコンネルはその後痩せて、今も役者を続けている。ウィキペディアには2017年の情報も。
映画から逸れると、少年達の一夏の物語が台無しになってしまいそうだけど、「Stand by Me」の時の4人はそれぞれ輝いていた。リヴァー・フェニックスなんて、今見ても凄いと思う。その他キーファー・サザーランドやジョン・キューザックも出演。個人的には外せない映画の一つ。
Thelma and Louise
19915月24 : アメリカ
監督 : Sir Ridley Scott(リドリースコット)
ラストは忘れられない。25年前の映画なので時代を感じるだろうけど、でも大好きな映画。リストには入れなかったけど、舞台が海の「白い嵐」もオススメ。
Knockin’ on heaven’s door
1997年2月20 : ドイツ
監督 : Thomas Jahn(トーマス・ヤーン)
とてもチープ、でもオススメ。一瞬だけど、「ブレードランナー」のルトガー・ハウアーも登場。
The Straight Story
1999年5月21 : アメリカ、フランス
監督 : David Lynch(デヴィッド・リンチ)
奇才デビッド・リンチが送るストレート兄弟の物語(実話)。真っ直ぐな映画、リアルタイムで見たのだけど、その頃はまだ良さが分からなかった。年を重ねて見直してみて、珠玉のロードムービーだと気が付いた。兄のライル役はパリ・テキサスのハリー・ディーン・スタントン。
The Adventures of Priscilla, Queen of the Desert 「プリシラ」
1994年9月 : オーストラリア
監督 : Stephan Elliott(ステファン・エリオット)
砂漠の街アリススプリングをバスで目指す3人のドラッグクイーン。「イギリスから来た男」テレンス・スタンプ、「マトリクス」ヒューゴ・ウィーヴィング、これがデビュー作「メメント」ガイ・ピアース。名優3人が旅先を舞台に怪演してる。バス旅もロードムービーの醍醐味。
Y tu mamá también 「天国の口、終わりの楽園」
2001年6月 : メキシコ
監督 : Alfonso Cuarón(アルフォンソ・キュアロン)
メキシコ版ロードムービーも忘れてはならない。アルフォンソ・キュアロンが描く、珠玉のロードムービー。二人の少年の旅の果てには。
「Stand by Me」が一夏の少年の経験を描いたのであれば、「天国の口、終わりの楽園」は、少年が大人へと移り変わる刹那を切り取っている。セックスにドラッグ、無軌道な惰性に日常を載せた二人の少年が、一人の大人の女性と「天国の口」を求めて旅に出る。下ネタも多いので、もしかすると女性には伝わりづらい物語かもしれない。
旅が終わると喧噪は消え、風景は変わる。多くの場合始まりは偶然が切っ掛けになるけど、いずれにしても終わりを迎えると日常は様変わりする。人は生まれ変わらないのならば、何を思い出に残すのか。いつの日か人生を振り替える、なんて考えながら日常を過ごしたりはしないけど、思い出して切なくなるような過去を残しておきたい。頭で分かっていても、大人にならないと実感出来ない感情。その感情を大人達に見せてくれる映画。
個人的には、マイク・ケイヒルが描く人生の捉え方とは対象的なアルフォンソ・キュアロン、と思っている。でも、どちらも大好きな監督。
リアリズムの宿
2004年4月 : 日本
監督 : 山下敦弘
個人的には大好きな監督。原作はシュールな作風でお馴染みつげ義春。シュールという言葉はとても曖昧なので、気になる方はブルトン「シュールレアリスム宣言」とフロイトの「夢判断」を合わせて読むと分かり易いかも。原作は漫画家の一人旅で、青森県西津軽郡鰺ヶ沢町が舞台だけど、映画は駆け出しの脚本家(長塚圭史)と映画監督(山本浩司)、家出した少女(尾野真千子)が登場人物。撮影は鳥取、映像だけでも見る価値あり。三人の雰囲気が何とも言えず映画に合っていて、小津映画に続き、日本的ロードムービーの代表作だと思う。
1999年、大阪芸大の卒業制作「どんてん生活」や「ばかのハコ船」を見ると、既に「リアリズムの宿」の片鱗が描かれている。そもそもがつげ義春に影響は受けてるのかもしれないけど、寄せたという感じはしないので、両者の作風には同じ匂いがあるのだろう。つげ作品自体旅漫画が多いので、旅映画の原作としても相性がよいのだと思う。
山下敦弘3部作といえば、佐藤泰志原作の函館三部作「オーバーフェンス」もあるのだけど、初期3部作も外せない。大阪芸大2年先輩の山本浩司を始め、幼馴染み山本剛史、今枝真紀や細江祐子など、3部作を見終わった頃には忘れられなくなる。山下敦弘の間は癖になるのだけど、役者達の影響も大きいのだろう。ちなみに佐藤泰志原作函館3部作は、他の監督、熊切和嘉、呉美保監督の2本も大好き。
The Motorcycle Diaries
2004年5月 : アルゼンチン、アメリカ、チリ、ペルー、ブラジル、イギリス、ドイツ、フランス
監督 : Walter Salles(ウォルター・サレス)
チェ・ゲバラ、若き日のエルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ「チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記」が原作。距離にして約12,000kmm、アルベルトとフーセル(チェ・ゲバラ)の若き二人は、南米大陸横断の旅の途中、チリの鉱山労働者やペルーのハンセン病患者と出会い何を感じたのだろうか。カラカスで二人の旅が終わり、映画はラストを迎えるのだけど、実直で優しいフーセルはやがて革命家へ。社会性を問う内容が含まれているものの、チェ・ゲバラになる前の話しだし、極端に偏った表現はされていないので「マルクス主義がどうだ」といった政治色は少ない。映画に思想が含まれる場合、俯瞰がないと途端に気持ち悪くなるのだけど、映像も美しく、旅路を通して変遷する青年の心情が無理なく伝わってくる。個人的には、サルガドの写真集を見ているような映画だった。ちなみにフーセル役のガエル・ガルシア・ベルナルは「天国の口、終わりの楽園」のフリオ。
Little Miss Sunshine
2006年1月 : アメリカ
監督 : Jonathan Dayton & Valerie Faris(ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ヴァリス)
外せないロードムービーの一つ。大人も子供も、放置すると狂気に変わる些細な感情が、日常には多く存在する。その小さな種に蓋をすると取り返しが付かなくなるのだけど、家族ゆえ蔑ろにしたりする。その個人的なエゴよりも、人の心を受け入れる感情が少しだけ広い、優しい家族の物語。退役軍人のオーバードース爺さん、凜とした母、どこか冴えない父、無口で意思的な息子、リトル・ミス・サンシャインに挑む娘、失恋したゲイの伯父、古いフォルクスワーゲンとモーテル。登場人物もアメリカもどこか病的なのに、それでもあたたかい映画。
into the Wild 「荒野へ」
2007年9月21日 : アメリカ
監督 : Sean Penn(ショーン・ペン)
原作はノンフィクション。本も買った。青年の旅物語。個人的には大好きな映画。映画の最後、人生を選択し、旅に出た青年は何を思うのか。
The Darjeeling Limited 「ダージリン急行」
2007年9月29日
監督 : Wes Anderson(ウェス・アンダーソン)
ホイットマン3兄弟の旅物語。家族とは、兄弟とは。グランド・ブダペスト・ホテルもそうだけど、色使いと映像が独特で綺麗。
The Road
2009年11月 : アメリカ
監督 : John Hillcoat(ジョン・ヒルコート)
親子の絆を描いた世紀末ロードムービー。主演はヴィゴ・モーテンセン。絶望した母親役は「プロメテウス」「マッドマックス 怒りのデス・ロード」「アトミック・ブロンド」などでお馴染みのシャーリーズ・セロン。カニバリズム含め生き抜くことがテーマ。南へ向かう親子の結末は。
AGAINST THE CURRENT 「約束のハドソン川」
2010年 : アメリカ
監督 : Peter Callahan(ピーター・キャラハン)
B級、でも名作。人によってはオススメしないけど、でも外せない映画。「カッコーの巣の上で」や「海を飛ぶ夢」を思い出す。
川の距離を生涯に置き換えるなら、終着は自然に委ねるのか、それとも自らが選択するのか。例えば死に際の痛みは想像を絶する。実体験がないと共感は不可能。もしも痛みを共有したいのなら同等の経験が必要になり、経験して初めて理解が可能となる。イマジネーションは子供に使う言葉だから、はじめの一歩としては良いのかもしれないけど、経験の代替にはならない。実感した感覚だけが質の高い言葉になり、説得力へ繋がる。
共感のレベルは経験値が基準だから、自ずと相対的で、もしも若い世代がこの映画を「面白くない」と感じても健全な反応なのだろう。似たような経験があるのなら、考えさせられる映画になるのでは。大の大人が大人に対して想像力を問うような、軽薄な映画よりも遙かに強く深く心象に残る。
一瞬の共感や共有を傷の舐め合いと決めつける人もいるけど、気にする必要はない。自分の居場所や位置を整理確認するためには必要な感情だ。自律的な反応なのだから、故意に誰かを傷つけないのであれば、流れに従えば良いと思う。
Mar adentro 「海を飛ぶ夢」
2005年 : スペイン、フランス、イタリア
監督 : Alejandro Amenábar(アレハンドロ・アメナーバル)
旅映画として「約束のハドソン川」を紹介したので、1本だけ年代順、ジャンル違いの映画を。ロードムービーではないのだけど、旅路を描いた一級品の映画、そこら辺のハリウッド映画なんて吹き飛ばしてしまう名作。美しくて優しく、とても切なくなる。尊厳と生死がテーマなので、置かれた状況によって意見も分かれるだろう。安楽死と尊厳死の違いもあるので、細かい描写に目を凝らした方がよいと思う。主演は「ノーカントリー」のハビエル・バルデム。個人的にこの映画は特別、別の機会でも紹介したい。
The Way 「星の旅人たち」
2010年11月 : アメリカ、スペイン
監督 : Emilio Estevez(エミリオ・エステベス)
いつかチャレンジしたい旅の一つ。日本で言うお遍路、カミーノ・デ・サンティアゴを題材にした珠玉のロードムービー。音楽も良く、見終わった後サントラも直ぐに購入した。宗教的にはカトリック教会の巡礼地なのだけど、信者だけでなく多くの人がサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す。この映画も何回見たか分からない。ちなみに入院中読んだ森知子「カミーノ! 女ひとりスペイン巡礼、900キロ徒歩の旅」には随分勇気付けられた。オススメの一冊。
ANOTHER EARTH 「アナザー・プラネット」
2011年7月 : アメリカ
監督 : Mike Cahill(マイク・ケイヒル)
パラレレルワールドがテーマの片翼だから、SF映画に分類するか迷ったけど、物語の発端と展開は、瓦解、罪、再生など感情が主軸。少し無理があるけど、旅路と解釈して紹介することに。大好きな映画、大好きな監督だし。
犯罪を犯さなくとも、誰しもが加害者になる可能性はある。私がバイクで事故に巻き込まれたとき、もしバイクが歩行者を巻き込んでいたなら。後続車や対向車が、暗い三車線の国道に転がっていた私を轢いてしまったなら。油断は誰にでもあるし、ミスが1割程度だったとしても、人の体の1割を壊した事実は変わらない。きっと後悔するだろう。何事も起こらなかったのは、運が良かっただけのことだ。
犯罪は別として、感情が壊れるような出来事が起こった時、人が逃避行動を取るのは当たり前の反応。心が疲弊すれば精神的な病が発現するし、肉体的なダメージであれば分かり易い形で現れる。病気への避難という考え方は昔からあって、そもそも変化がなければ対処のしようがない。物事は順序が大事だから、目を背けてるように見えて、準備中の可能性だってある。何であれ、手順通りなら静かに時期を待てばよい。無理して歪んで、人を傷つけるようになってしまえば、それこそ人生が終わる。依存の善し悪しは判断が難しいけど、何かに救いを見出すこと自体は術の一つだろう。愚かで優しく、脆くてタフな映画。
The Secret Life of Walter Mitty 「LIFE!」
2013年12月 : アメリカ
監督 : Ben Stiller(ベン・スティラー)
ロードムービーとは少し毛色が違うのだけど、ブルーレイもサントラも購入した大好きな旅映画。この作品も何回見たことか。音楽もよいし、見る度にアイスランドへ行きたくなる。
LION「ライオン〜25年目のただいま〜」
2014年9月 : オーストラリア、アメリカ、イギリス
監督 : Garth Davisl(ガース・デイヴィス)
ルーツ探しの旅物語。低予算ながら美しい映像が続く。映画としては一級品。オススメ。
I ORIGINS
2014年9月 : アメリカ
監督 : Mike Cahill(マイク・ケイヒル)
ジャンル分けするとロードムービーではないけども、壮大な旅物語ではある。大好きな映画。オープニング含めとても美しい映画。理論と魂の拮抗を描いた名作、DVD化されてないこと自体不思議でならない。個人的にマイク・ケイヒルは大好きな監督。
Wild「わたしに会うまでの1600キロ」
2014年12月 : アメリカ
監督 : Jean-Marc Vallée(ジャン=マルク・ヴァレ)
原作有り。誰にでも最初はある。場数の違いだけであって、旅に素人も玄人もない。たった1回でいいから、1人で考え行動を起こせば、何が不要で、何が足りなかったかが分かる。良い出会いもあれば、ネガティブな出来事も起こる。人にあれこれ言われなくてもそのうち身軽になるし、手際も良くなる。必要な話であれば、素直に受け取れるようにも。
僅か数パーセントであっても、旅先にはマナーの悪い浮かれた観光客もいるし、上から目線だけの旅行者と出会ったりもする。でも嫌な奴なんてそうそういないので、興味がある方はバックパック背負って旅立ってみては。そんな、背中を押してくれるような映画。
Captain Fantastic 「始まりの旅」
2016年1月 : アメリカ
監督 : Matt Ross(マット・ロス)
自然との関わり方にはそれぞれ主義主張がある。科学を追い求めた先が魂だったり、その逆も。バランスが鍵なのだと思うけど、偏る人も少なく無い。
もしも囚われたのならば、違う土地へ行ってみてはどうだろうか。意固地にならず、変化を受け入れてみては。取り敢えず準備に取り掛かるのもよいと思う。例えば西洋医学でしか救えない命があったり、東洋医学でしか解決できない問題があったりする。両者を受け入れる冷静さを保つのは、誰かを守る上でも一つの形になるのではないだろうか。家族が加わるのであれば尚更、多様性を考慮する必要も生まれる。と考えさせれられる映画。ヴィゴ・モーテンセンは大好きな役者だし、この映画ともよく合っている。
出来る限りストーリーには触れないようにしている。総ての映画を見ている分けではないので、あくまでも個人的な好みが基準。参考程度のご紹介と思っていただければ。似たような感想を持った方であれば好みも近いと思われるので、御覧になってない作品があるのであれば暇な時にでも。他にもよい作品はあるし、どんどん増えていくだろうから、次の機会でまた。
「オー・ブラザー!」や「ブルースブラザーズ」も大好きな映画なので、ロードムービーとして紹介するか迷ったけど、「個人的に思う珠玉の音楽映画(年代順)」の時に改めて。